みなさまごきげんよう。
社労士って独学でも合格できるものなの?
まずは独学で勉強したいけど、具体的にどうすべき?
この記事を読むと、社労士の独学勉強法がわかります。
筆者は社労士の受験講座の講師を5年経験しました。更に現役社労士として10年以上のキャリアがあるので、独学で社労士試験に合格した人も多く知っています。
結論として、通信講座は活用した方が効率的ではありますが、人それぞれ環境や考え方があるのも事実ですよね。
社労士試験の全体像と特徴
社労士試験を独学で合格するには、それなりの覚悟は必要になります。
試験の概要
社労士試験は年に1回、8月に実施される国家試験です。
回答は全てマークシート形式で、以下の概要にて行われます。
時間帯 | 問題形式 | 問題数 | 得点 | 試験時間 |
午前 | 選択式 | 8問 | 1問5点 | 80分 |
午後 | 択一式 | 70問 | 1問1点 | 210分 |
試験は毎年4月中旬に公示されて、その時点で施行されている法律に基づいて出題されます。
試験受験の申込み期限は5月末までなのでお忘れなく(^^)
出題科目と配点
社労士試験の出題科目と配点は以下の通りです。
科目名 | 選択式出題 | 択一式出題 |
労働基準法 | 3点 | 7点 |
労働安全衛生法 | 2点 | 3点 |
労働者災害補償保険法 | 5点 | 7点 |
雇用保険法 | 5点 | 7点 |
労働保険徴収法 | 出題なし | 6点 |
労働に関する一般常識 | 5点 | 5点 |
社会保険に関する一般常識 | 5点 | 5点 |
健康保険法 | 5点 | 10点 |
厚生年金保険法 | 5点 | 10点 |
国民保険法 | 5点 | 10点 |
【合計】 | 40点 | 70点 |
出題範囲は広いですが、配点についても概ね均等に割り振られています。
範囲が広いのに苦手を作れないのが社労士試験じゃ(^^)
合格ライン
合格ラインとして、全体と科目ごとに基準点が設けられています。
試験年度 | 選択式合格基準点 | 択一式合格基準点 |
2023年度 | 26点 | 45点 |
2022年度 | 27点 | 44点 |
2021年度 | 24点(労一・国年) | 45点 |
2020年度 | 25点(労一・社一・健保) | 44点 |
2019年度 | 26点(社一) | 43点 |
全体の点数は表の通りで、1科目ごとの基準点が下記になります。
- 選択式は1問3点
- 択一式は1問4点
難問で受験生全体の点数が低い場合は、「救済」という形で科目ごとの基準点が引き下げられます。
直近では7割が合格ラインとなっているぞ(^^)
合格率
合格率はずっと一桁推移しています。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年度 | 42,741 | 2,720 | 6.4% |
2022年度 | 40,633 | 2,134 | 5.3% |
2021年度 | 37,306 | 2,937 | 7.9% |
2020年度 | 34,845 | 2,237 | 6.4% |
2019年度 | 38,428 | 2,525 | 6.6% |
受験者や合格者の中には、
- 予備校(スクール)に通っている人
- 複数回の受験をしている人
- 人事労務の実務をしている人
なども交じっています。
独学での合格が決して簡単とが言えませんが、十分な準備と勉強が必要であることが理解できますね。
最後に大切なのは自分の強い意志じゃ(^^)
社労士の魅力
社労士には魅力が多く、目指す価値が大きい資格です。
- 直接「ありがとう」と言ってもらえる
- 法改正が多く常にニーズがある
- 自分磨く(知識・人柄)ことで報われる
- 再就職やキャリアアップに有効
- 独立社労士は定年がないので長く働ける
やはり自分のスキルや能力を提供して喜んでもらえるほどに嬉しいことはありません。
苦労して手に入れたもの〈資格〉は一生を支えてくれるものじゃ(^^)
社労士を独学で勉強するメリット・デメリット
全体像と特徴がわかったところで、勉強に関する具体的内容を解説していきます。
独学のメリット
独学で社労士の勉強をするメリットは以下が考えられます。
- 自分のペースで学習できる
- 資格取得までの費用を抑えられる
- 自分に合った問題集を選べる
- 情報収集能力の向上が期待できる
なんと言っても、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に取り組めることや費用の削減ができることが大きなメリットです。
- まとまった時間が取りにくい人
- 今は費用をかけられない人
- 時間がかかってもコツコツ勉強したい人
これらの人には効果的でメリットのあるのが独学での勉強ですね。
手軽に学習の第一歩を踏み出せるのもいいところじゃ(^^)
独学のデメリット
独学には以下のようなデメリットも存在します。
- 範囲が広く内容を理解するのが難しい
- 質問できる環境がなく疑問が解消できない
- 法改正などの最新情報を得るのが難しい
- 試験上のポイントやテクニックがわからない
他にも独学の人は、丸暗記で一部を理解できていないケースもあります。もちろん独学でも合格した事実があれば、後で取り返すことは十分可能ですよ。
いずれにしても、社労士試験はどうしても長丁場になります。
「知識や理解度の向上」と「学習意欲の維持」は大きな課題になることは想定しておきましょう。
独学のメリット・デメリットまとめ
メリット・デメリットを紹介しましたが、結論として独学はとても大変です。
筆者の知り合いでも独学で合格した人は、最速で合格するぞという「意思が強く」、「集中力が高い」人です。筆者自身は独学で合格できたとは思えません(笑)。
正直、通信講座でも良いので以下の理由からスクールの活用は強くおススメはします。
- プロの講義を受けると理解が深まるから
- 受験勉強のペースメーカーになるから
- 早く合格できるほうが選択肢が広がるから
今の環境は人それぞれではありますが、メリット・デメリットを比較して後悔のない選択をすることが大切ですね。
通信講座に興味のある人はこちら→» 社労士おすすめ通信講座
あの~大変さは承知の上で「独学」について知りたいんだけど!?
社労士の独学用おすすめアイテム
独学でも効率よく学習するための、参考書やおすすめ文房具などを紹介していきます。
参考書・問題集の選び方
前提として、まず必須で用意すべきは2つです。
- 参考書(テキスト)
- 問題集(過去問)
ぶっちゃけ、学習の初期はこれらがあれば問題ありません。
他に必要なのは、アウトプットをするための教材です。予想問題を用意するのも一つですが、個人的には模試のみで十分だという考えです。
このような前提を基にして、以下のポイントを抑えつつ選びましょう。
- シリーズ化されている実績のある教材を選ぶ
- テキストと過去問は同じシリーズに統一する
- 図や表やカラーなどが直感的に見やすいもの
- 直近の法改正にも対応している教材か確認する
- 費用の目安は全て合わせて20,000円以内
注意点は、テキストと過去問が最も大切なので手を広げすぎないことです。
効率的な学習には「おすすめ文房具」の準備も忘れずに(^^)
みんなが欲しかったシリーズ
まずは有名な「みんなが欲しかった」シリーズです。
- フルカラーで見やすく初心者向けの教材で、
- 教材の売り上げもナンバーワンだそうです。
大手予備校「TAC」が出版しているので、クオリティーも高く安心できます。
初学者にもわかりやすく情報が整備されているので、学習初期では特におすすめです。
ユーキャンの社労士シリーズ
歴史あるテキストとして筆者も使用していた「ユーキャン」シリーズです。
- 基本から応用まで十分の情報量があり、
- テキストは3冊に分けれるので持ち運びしやすいです。
「生涯学習のユーキャン」として歴史と実績は申し分ありません。
筆者は本試験前日にユーキャンテキストを全ページを一読して合格しました。信頼できることは間違いありません。
よくわかる社労士合格シリーズ
よくわかるシリーズも大手予備校「TAC」から出版されています。
- テキストは科目別に全11冊
- 過去問は類似の科目別に全4冊
細かく分かれているのは、条文から通達や判例が深く掲載されているからです。
過去問は10年分掲載されており、とにかく情報量が多いので、時間のかけれる人にはおすすめのシリーズです。
おすすめ文房具
文房具を上手く活用することで勉強の効率を上げることができます。
おすすめ文房具3選
❶消せるマーカー
❷付箋
❸シャーペン
まずは最も活用するのが消せるマーカーです。これで論点を明確にします。
苦手な項目や後回しにする項目は付箋で振り返れるようにします。
勉強においてはシャーペンも必須ですよね。愛着が持てるアイテムを一つ購入してみましょう。
社労士を独学で勉強する時のポイント5選
ここからは独学で学習する時のポイントを解説します。
いきなり完璧を目指さない
独学で初めて勉強する場合、いきなり完璧を目指すことはナンセンスです。
- 必要以上に時間を使ってしまうから
- 全体像がみえてから理解できる箇所もあるから
- 試験対策としては単純に非効率だから
このように、不必要な”つまずき”が発生してしまいます。
初学者に多いのが理解ができない箇所があれば、次に進めないことです。まずは全体像を把握するために、わからない部分は飛ばして進むことも大切です。
もちろん、最終的には「完璧」に仕上げる必要はあります。ただし1ページ目から順番に理解できる訳ではありません。
理解度としてはまず「8割」を目標に学習するのじゃ(^^)
マーキングと付箋を使う
マーキングと付箋は次の理由から大いに活用することをオススメします。
- マーキングで論点や重要ポイントがわかるから
- 難しく重点学習する箇所を付箋で把握できるから
目的は本試験まで何度も学習する上で、論点を明確にすることです。
ちなみに使用するマーカーは一つの色にして、かつ消せるものが良いでしょう。なぜなら学習を進めていく内にマーキングすべきポイントや論点が変わってくるからです。
受験生でたくさんの色を使用してカラフルにする人もいますが、範囲が広いからこそシンプルに一色にしておきましょう。
適切なマーキングと付箋で、学習を効率的に進めることができますよ。
テキストと過去問を反復学習する
社労士試験で最も大切なのは「基礎・基本」を取りこぼさないことです。
使う教材は手を広げる必要がなく、
- 基本がつまった「テキスト」
- 今までに出題された「過去問」
この2つを柱として学習するのが王道です。
そして最も大切なのはそれらを「反復する」ことじゃ(^^)
社労士試験は過去問からの出題が半分以上です。
だからこそ合格ラインへの到達に、たくさんの教材は必要ありません。
社労士試験攻略のポイントは、基礎・基本を繰り返して記憶を定着させることです。その土台があって試験テクニック的なものが活きてきます。
断言できるのは、合格者は例外なく「徹底的に繰り返し学習している」という事実です。
模試にチャレンジする
模試は3つの理由により必ず受験するようにしましょう。
- 自分の弱点が明確になるから
- 本試験で似た問題が出題されると有利だから
- 本番の緊張感やペース配分に慣れるため
特に独学で勉強している人は、会場に多くの受験生がいる雰囲気にも慣れておくべきです。
模試の受験で気を付けるべきは、「落ち込まないこと」と「必ず復習をすること」です。思った以上にできないケースが多いですが、振り返りが何より大切です。
模試の詳しい活用方法は下記の記事で紹介しています。
» 模試の受験をおすすめする5つの理由と具体的な活用方法を解説
また学習に関すること以外にも気づきが多いはずです。
- 問題を解くペースは適切だったか
- 丸1日の試験ではとても集中力が必要だった
- 会場は冷房が効きすぎているからが織物が必須
これらを本番で修正することが何より大切なことです。
苦手科目を作らない
苦手科目を作ることは、致命的で合格から遠ざかることになります。
- 1科目ごとに足切り(ボーダー)点数があるから
- 1科目の取りこぼしが全体の得点を下げてしまうから
- 他の科目にまたがって理解が必要な法律もあるから
毎年、奇問や難問が出題される科目がありますが、
- 選択式は5点満点中3点
- 択一式は10点満点中4点
1科目でも上記の科目ボーダー点数を下回ると不合格になります。
社労士試験の合格率は一桁であり、受験勉強を複数年している人も多いです。合格基準点は相対評価で決定されるからこそ、苦手科目は大きく不利になります。
試験範囲全体の理解と暗記を求められるのが社労士試験じゃ(^^)
その他社労士の独学合格に必要なこと
社労士の勉強期間は、平均1年間と長丁場になります。
ここからは長期視点で必要なことを解説していきます。
独学合格に必要な学習スケジュール
長丁場の受験勉強だからこそ、スケジュール管理は極めて重要です。
大きく3つの期間に分けて学習するのが効率的じゃ(^^)
- 学習初期(~4月)
- ・各科目1周目を4月末までに終わらす
・過去問は全て「〇」か「×」と「その理由」が答えれる - 学習中期(5月~7月)
- ・各科目2周目を7月末までに終わらす
・1周目と同じ勉強をしつつ模試にも挑戦する - 直前学習期(8月)
- ・直前期の総まとめとして、とにかく反復学習する
・難問より基礎、基本を落とさない学習をする
上記3つの期間の中で、更に科目ごとに仕上げるべき日を目標設定していきます。
学習初期においては、1科目ずつ集中して勉強することがポイントです。前に学習した科目を忘れていても戻ってはいけません。目の前の科目を全力で仕上げていきます。
それぞれの到達目標は、基本テキストを理解と過去問を完璧に仕上げることです。
独学合格に必要な勉強時間
社労士試験に合格するには、一般的に800時間~1,000時間の勉強が必要です。
合格する人は、「見たことがある」や「やったことがある」をたくさん作ることができた人です。逆に「頭がいい」や「記憶力がある」で合格した人は見たことがありません。
独学であろうが、スクールを活用しようが、やっぱり時間をかけることは必要なんですね。
参考として1年間に1,000時間の勉強をするならば、
- 1,000時間÷12か月=月あたり83時間
- 月あたり83時間÷4週間=週当たり20.8時間
- 例えば平日2時間、休日6時間なら22時間でクリア
このように具体的にどれぐらいの勉強が必要かは逆算してみましょう。
勉強時間の計画的な確保が重要なのは否定できません。
» 【1,000時間以上?】社労士試験合格に必要な勉強時間
コツコツと時間をかけれる人は強いものじゃ(^^)
独学合格に必要なモチベーション管理
長丁場の受験勉強では、必ずモチベーションが上がらない時が出てきます。
そんな時の対策として挙げられるのが以下の方法です。
- たまにはカフェなど別の集中できる場所で勉強する
- 日々の目標を明確にして小さな達成感を味わう
- 目的を達成したらちょっぴり自分にご褒美をあげる
- 社労士に合格後の活躍をイメージする
- やる気が出なくても勉強を始める
但し、このテーマのポイントはモチベーションという概念を超えて、「習慣化すること」になります。
そのためには、”気持ちが乗らなくてもやる”という精神論も重要です。「作業興奮」とも言いますが、やり始めると気持ちが乗ってくるという人間の心理が存在します。
筆者も合格した年は習慣化されていたので、「3分」でもスキマ時間があれば自然と過去問など学習を始めていましたよ。
まとめ:独学で社労士試験の挑戦をするには覚悟がいる
独学で合格することは可能ですが、決して楽な選択とは言えません。
- 効率的に学習して早く合格したい人
- 意思が弱く一人で勉強できるか不安な人
- しっかり理解して実務で活かしたい人
このような人はスクール(予備校)を活用した方が無難ではあります。
通学のスクールはハードルが高い。でもコスパも良いし通信講座を活用したい人は以下の記事を参考にしてくださいね。
» 社労士おすすめ通信講座
一方で独学で合格するためのポイントは3つじゃ(^^)
- 自分に合うテキストと過去問を選ぶ
- 学習計画を立ててしっかりとやり切る
- 理解にこだわり過ぎず反復学習を意識する
独学で合格した人も多数いるのは事実です。
そして、社労士試験に合格した後は、人事労務管理の専門家として多彩なキャリアが開けます。そんな未来を目標に、覚悟を決めて計画立てたことを実行するのみです。
それではまたっ。